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能力は関係ない!?仕事は「ご縁とタイミング」だと実感したエピソード【番外編】

カナダがロックダウンして既に1ヵ月が過ぎました。

エドモントンの雪も先週から今週にかけて完全に溶け、数カ月ぶりにマンション敷地の芝生が現れました。

芝なんか数カ月も雪に閉ざされて枯れているだろうと思いきや、少しは茶色くなっていましたが、依然として緑なのです。

植物の生命力って凄いなぁ。

そして陽射しは増々強く、気候も暖かくなってきて、まさに春が来た!という感じです。

人類が直面しているコロナ禍など全く関係ない、美しい自然の姿に感動し癒されます。

表現は少し違いますが、古代中国の漢詩の一文

「国破れて山河在り」

が思い出されます・・。

さて、人の世の無情を感じたお仕事選びについて、【前編】と【後編】からの続きです。

長くなりましたが、これで完結します。

☞ 能力は関係ない!?仕事は「ご縁とタイミング」だと実感したエピソード【前編】

☞ 能力は関係ない!?仕事は「ご縁とタイミング」だと実感したエピソード【後編】

採用する側だって、常にベストな人材がゲットできているわけではない

日本で働いていた時に採用の仕事をしていたと書きましたが、私が携わっていたのは

中途採用

です。

中途採用は、通年で、各部署のポジションに空きが出たときに、職場からの要請により募集をかけて採用します。

年間を通して採用ができるのは良いのですが、中途採用の難しいところは、とにかくタイミングが合わなければ、なかなか良い人材に巡り会えないこと。

応募する側からすると、中途採用はポテンシャル重視の新卒採用と違って、能力・実力本位の選考で狭き門というイメージがありませんか?

もちろんそうです!

ですが採用する側として、私は声を大にして言いたい。

欲しい時に、欲しい人って、なかなか現れないんだよーーーーーっっっ!!!

よーーーーっっ!!

よーーーっ!

その中でも、

こんな理不尽なことってあるのか!?

と思わず震えてしまったエピソードをご紹介します!

<Case 1>キャビネットの奥から出て来た衝撃の履歴書

私が当時勤めていた会社は、一部上場の大企業でした。

ですので常にどこかしらの部門で欠員が生じており、いつも複数の部門の募集を同時並行で進めていたのですが、色々なジレンマに悩んでおりました。

「なかなか部門のスペックを満たす人って、来ないなぁ~。」

「部門長からも、『もっとマトモなの採れなかったの』とか言われるし・・。」

「世間的には一部上場の超巨大優良企業で通ってるんだから、一応優秀な人達が応募してくれてると思うのになぁ・・。」

「とにかく、募集期間に応募して来た人の中から選ばざるを得ないよなぁ・・。」

とまぁ、需要と供給がなかなか一致しないことに

もんもん

としておりました。

取りあえず内定を出して入社の意思を確認した後は、入社のための手続きをしなければいけません。

私は数人の内定者の入社手続きのために、彼らの応募書類が入っているキャビネを開けて、書類を整理しようとしました。

と、その時。

ある一通の未開封の封筒が、

キャビネの中で応募書類を入れた段ボール箱の下敷きになっている

のに気付きました。

「何だろうこの封筒?新しく届いた応募書類っぽいな・・。」

取りあえず開封してみます。

私は、

あっ!

と思わず声を上げてしまいました。

そこにあったのは・・丁寧な直筆のレターヘッドと履歴書でした。

心と熱意のこもった挨拶文と自己紹介、志望動機。

履歴書に目を通すと、学歴・職歴とも申し分なく、一発で

「合格案件」

と分かる人材でした。

「こんな逸材、滅多にいない!!これは良い人が応募してきてくれた!!部門も絶対に喜んでくれるYO!!」

と思いながら、レターと履歴書の日付に目が釘付けになりました。

え( ゚Д゚)

半年前!?

とっくにクローズしてるやんけ!!!

あの時の

Oh, My God !!!

感と言ったらもう。

・・何という逸材を私達は逃してしまっていたのか、何という・・!!!

もう、膝から崩れ落ちて号泣したい気持ちでした。

半年前は、私の前任者が担当していた時期。

真面目な方でしたが、いかんせん二つの部署を兼務していたため、業務が滞りがちでした。

きっと故意ではなく、本当に忙しさの中で応募書類が段ボールの下に紛れてしまっていたのでしょう。

私は、履歴書に貼ってある爽やかで誠実そうな応募者の顔写真を見ながら、泣きそうになりました。

他人の私から見ても、パーフェクトで、情熱の感じられる書類でした。

きっと会社の募集要項を見て、「我こそは!」という思いで、敢えて直接手書きで送って来られたのだと思います。

頑張って書類を書いて送って、今か今かと、彼は毎日会社からの連絡を待っていたことでしょう。

でも、何の連絡もなかった。

「書類を受け取りました。」という連絡すらなかった(開封したら必ず会社から確認のメールをしていました)。

どんなに辛く、悔しく、惨めな思いを彼にさせてしまっただろうと思うと、申し訳なくてたまりませんでした。

ちゃんと開封できていたら、間違いなく通っていた人材でした。

私は上司にすぐに報告し、何とかどこかの部門に入れられないか、今からでも選考できないか、必死で訴えましたが、いかんせん該当の部門は既に他の方に決まっていて入社済みでしたし、何よりあまりにも時間が経ちすぎていて、会社としてもどうすることもできませんでした。

結局、書類を破棄して、終わりました。

あの時ほど、

「仕事って実力じゃない、運とご縁なんだ・・!」

と思ったことはありません。

しかもそんな時に限って、内定者に

難あり

なのがいたりして。

本来なら落としてやりたいとこだけど、部門からは

「早く人寄こせ~~寄こせ~~。」

と矢の催促で、仕方なく消去法で選んだどうでもいい奴。

そんな奴に限って、

「選ばれた自分」

とか思ってるのか、

本当に図々しい。

入社にあたって色々と無理難題を言ってきて、しかもその我が儘がなぜか通ったりして。

まさに

「無理が通れば道理引っ込む」

この世の無常さよ・・(ノД;)

仕方なく採用したこちらとしては、とめどなく溢れ出る

お前じゃねぇぇーー!!!感。

怒りの持って行き場がなく、本当にやりきれない経験でした。。

私はここに懺悔します。

W大卒の応募書類の君よ!!!・・書類を紛失してしまい本当にごめんなさい・・私たちは、あなたをこそ、採用したかった!!!

<Case 2>そんなのアリ!?どんどん下がる採用基準

これは、ケース1とは違う会社に勤めていたときのエピソードです。

こちらも、通年での中途採用でした。

長くなったのでサクッと書いて行きますが、ある時に会社がコールセンターを立ち上げて、コールセンターの事務要員と、インバウンド要員の募集を開始しました。

まぁ、新しい部門ということで、職場も意気揚々として採用に挑むわけです。

そして最初にありがちなのが、

採用基準をやたら高く設定してしまう

こと。

これが後に悲劇を生んでいきます。

募集の第一弾で、私は、とても仕事のできそうな女性を面接しました。

今でも忘れません。

礼儀正しく、服装も適切で、清潔感があり、受け答えも明朗快活。

私は面接をしながら、

絶対にこの人は採用したい!

と強く思いました。

ただ気になったのが、ご主人が転勤族で3年前後で転勤のサイクルがあること。

当地にも転勤で転入しており、お子様のサポートをお願いできる親族が近くにいないこと。

これは採用基準として、

「長く勤められること」

「子供がいる場合は、子供が病気の時などにサポートしてくれる親族が近くにいることが条件」

と上司からしっかり念押しされていました。

なのでその部分は私も彼女に確認したのですが、ご主人の転勤のことを正直に話して下さり、それでも働ける期間は一生懸命働いて会社の役に立ちたいこと、病児保育の預け先は見つけているので、子供が病気の時でも業務に支障は出ないようにすることを説明してくれました。

私は彼女と話しながら、とても信頼の置ける方だと感じていたので、面接後に応募者の採否を決めるレビュー会議で、一生懸命彼女を推薦しました。

でも、判で押したように、

「採用基準を満たしていない」

と、はねられてしまいました。

採用者にしか連絡しない決まりだったので、もちろん彼女への連絡はなし。

私は採用できなかったお詫びだけでも連絡したい気持ちで一杯でした。

・・そして数ヶ月後、何が起こったか。

当初から採用を段階的に分けて行っていたのですが、時間が経つごとに、応募者の質が落ちて来たのです。

というのも前述のケース1は東京での話でしたが、こちらは九州の一地方都市。

東京に比べたら圧倒的に労働人口が少なくて、田舎ゆえに更に人材に乏しく、数回の募集で、目ぼしい人は採用し尽くした感じになっていました。

言い方は悪いですが、

オバチャン

や、昨今の風潮から

シングルマザー

の方がとても多かったです。

採用基準として厳しく掲げていた

「長く勤められる人」

を採用しても、

「子供の手がかからなくなったから定年まで働きます!」

なんて言っていたのに、入社してすぐ辞めるオバチャン多数。

「子供がいる場合は親族のサポートがある人」

を採用しても、休む奴はどんな理由を付けても休みまくります。

会社はすっかりそんな状況に疲れてしまい、どんどん採用のハードルを下げて行き、最後には

「転勤族の奥さんでも、いる期間だけでも働いてくれればOK!!」

「子供をサポートする親族が近くにいなくても、本人の働く熱意があればOK!!」(←結局そういう熱意のある人は、どんな時でも何とか都合をつけて仕事に穴を開けないように頑張ってくれるから)

となりました。

そんなバカな事ってあるかよぉぉぉ(; ゚Д゚)!?

そしたらあの時、あの人を落とすこと、なかったんじゃん!!!

( ;Д;)9

・・ちなみに採用する時に、

「この人早く辞めそうだな~」と思っていた人が案外長く働いて昇進していったり、

「この人は絶対大丈夫だろう!」と安心していた人が意外にも潰れてしまったり、

「こんなギャルに仕事できんのか!?」と不安しか感じなかった人がバリバリ活躍していたりして、

やっぱり一回の面接なんかで、そう人間判断できるもんじゃないよなぁ。。

と思ったりしました。

また能力・人柄的に大丈夫でも、部署によってカラーが違い、送り先を間違えたことで結果的にダメにしてしまった人もいました。

本当に採用とは奥深い仕事だなと思います。

とにかく私は、再びここに懺悔します。

素敵だった転勤族の若いママさん!!!・・あなたのことを忘れたことはありません・・あの時採用できなくて、本当にごめんなさい!!!

最後に

番外編の2つのエピソード、いかがでしたか?

自分の人生で、他人に対して「申し訳ない事をした」と思うことは少なからず誰にでもあると思いますが、私にとって彼らは常に心のどこかにいつまでも引っ掛かり、あの後どうなっただろう、今はどうされているだろうと気にかかる存在でした。

仕事はご縁、仕事はタイミング。

残酷な事実ですが、彼らもまたその法則によって、ご縁のある会社や仕事に出逢えたことを願ってやみません。

もう10数年経ちますが、こうして記事にできたことで、少しでも私なりの贖罪になったような気がします。

そしてこの記事を読んでいる、現在求職中の方々がいましたら最後に一言。

落ちても気にする必要なし!!

全ては運とタイミング!!

あなたを待っている会社・仕事・ご縁が、必ずある!!

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