イギリス生活・イスラエル生活を経て、カナダ移住へ

山あり谷あり海外移住記

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ラマダン中にエジプトを旅行した思い出

投稿日:2020年4月25日 更新日:

イスラム教の断食月「ラマダン(Ramadan)」が24日、始まったというニュースを見ました。

今年はコロナの影響で、集団礼拝も、日没後の食事の集まりも禁止という異例のラマダンになっているそうです。

私は古代エジプトマニアでエジプト旅行に2回行ったことがあるのですが、1回目に旅行した時、ちょうどこのラマダンの真っ最中でした。

予約をしてから旅行日程が絶賛ラマダン中という事を知り少し躊躇しましたが、逆に貴重な経験になるかも知れない、さすがに観光地ならそこまで影響はないだろう!と高を括って行くことにしました。

しかーし!

ラマダン中は日中は食物を口にしない決まりであると軽く知ってはいたものの、実際に現地を訪れて体験してみると、驚きの連続でした。

せっかく懐かしく思い出したので、記事にしたいと思います。

ラマダンの時期は毎年異なる!

ラマダンの時期はヒジュラ歴(イスラム歴ともいう)を元に決定されます。

このヒジュラ歴というのが太陰暦という月の満ち欠けだけを元にした暦で、閏月による調整を行わないために太陽暦に比べ1年で約11日ほど早まることとなり、このため、ラマダンの時期が毎年異なるそうです。

これも何となく知識としてはあったのですが、私が最初にエジプト旅行したのは2002年の11月下旬でしたので、その年のラマダンよりも、今は5ヵ月も時期がずれているのですね。

毎年だと大した違いはないように感じますが、さすがにこれにはビックリしました!

季節が秋→春に変わってる!!(; ゚Д゚)

ということは、オールシーズンを巡って行くわけですね。

面白いとは思いますが、どの季節で体験するかによって過酷さも違う気がします。。

真夏なんかは、かなりの気合と覚悟が必要になるのでは・・

とにかく日中はどこもお店が開いていない!

まず現地に着いてビックリしたのが、日中は本当に、どこも、お店が開いていないことです。

初めはツアー中の休憩時間やホテルに着いてからの自由時間に現地のスーパーで買い物を楽しもう♪と思っていたのですが、探せども探せども、どこもかしこも閉まっていました。

現地の日本人ガイドさんから、

妊婦さん・子供・高齢者・旅行者は断食を免除される!

と聞いていたので、じゃあ少しはその人たちのためにお店だってやってるだろう・・と思ったのですが、甘かった。

そう、まさに今このコロナによりロックダウンされている街の状況と似ていると言えば似ています。

きっと、ロックダウン前と同じように、皆さんラマダン前に買いだめしておくのでしょう。

開いている店を見つけるまでは諦めないぞ!と、ホテルから歩いて歩いて歩いて、やっと1軒見つけましたが、食料品を売っている店ではなく、金物屋というのかホームセンター的なお店というのか・・、とにかくオヤツに現地のお菓子でも食べたいと思っていたので、食べ物を見つけきれずに泣きそうになりました。

ツアーで各地の遺跡を回りましたが、砂漠の中の高速道路を走っていて、サービスエリアのような所でバスが止まって休憩したことがありました。

そこにはこじんまりとした建物があり、トイレと小さな売店が入っていたのですが、何とその売店だけは、開いていたのです!!

もう有り難くて有り難くて・・ちょっとしたスナックを買ったのを憶えています。

そしてスナックを手にしてホクホク顔でバスに戻ったところ、事件は起きました。

同じツアーに参加しているオバチャン連中が、日本から持参したお煎餅をバリボリ食べながらおしゃべりに興じており、それは全然いいのですが、あろうことか、

絶賛ラマダン修行中のエジプト人のバス運転手さんに、

「ねぇあなたこれ食べる?おいしいわよ!(´∀`)」

と、オバチャンのお節介根性丸出しで日本のお煎餅を勧めていたのです!

エジプト人の運転手さん、ギロリとオバチャン達を一瞥して、

「要らん!」

とにべもなく断り、あとはムッスリと黙り込んでしまい、日本人のガイドさんも無言で俯いて車内は重々しく微妙な雰囲気に・・。

当のオバチャン達は、

「まっっ!!せっかくあげようとしたのに、何て態度なの!!」

激おこぷんぷん丸(古っ)。

無知ほど怖いものはないと常々思っておりますが・・

明らかに断食の影響でイライラしている運転手さんに、目の前でお菓子をむさぼるばかりでなく、よりにもよって、お菓子を勧めるなんて。。

このババァども、余計なことをするんじゃねーー!!( ;∀;)

私は同じ日本人として怒りを覚え、心の中で吠えました。

そして日没後、状況が一変!

日本のオバチャンの余計な行為により、断食ストレスが臨界点に達したのが明らかなエジプト人運転手さん。

その彼が運転する荒ぶるバスは、もう、とにかく、猛スピードで砂漠の中の高速道路をホテルに向けて爆走しました。

明らかに制限速度超えてるでしょ・・というくらい、先ほどとは速度が違いました。

車内の張りつめた重苦しい雰囲気とは裏腹に、地平線に広がる砂漠に真っ赤に燃える夕陽が沈みかけて、それはそれは美しい光景でした。

あぁ・・何て神々しい・・でもバスの中が針の筵だYO・・

とここで、ガイドさんがラマダン中の日没について解説を始めました。

ガイドさんグッジョブ!!ナイスタイミングだっっ!!

何でも、太陽が完全に沈むのを目で確認したら日没となり、食べ物を食べ始めて良いそうです!

という事は、あの大きな太陽が砂漠の向こうに完全に沈むのをひたすら見ていなければならないのですね・・( ;∀;)

と軽く絶望を覚えていたところ、ガイドさんから耳寄り情報が!

「でも誰もが日没を確認できる環境にいるわけではないので、ラジオで日没のお知らせをしてくれます!」

とのこと(@Д@)

何とこれは合理的な・・!

と感動していたところ、バスは郊外を抜けて市街地に近づいてきて、家々が現れ始めました。

そうすると確かに、家によって砂漠がどんどん見えにくくなり、市街地に入るころには、地平線はビルなどで遮断されて完全に日没を確認することは困難になりました。

その時です!

コーランのような、男性の荘厳な歌声が、バスの中のラジオから流れてきました。

「こ、これだっっ!!これが日没を知らせる合図に違いない・・っっ!!(; ゚Д゚)」

私の様なお気楽旅行者でもハッキリと分かるような、雄々しくもどことなく哀愁を帯びた日没の時報?でした。

そしてその歌声が終わった瞬間。

いきなりバスが方向転換をし、明らかにルートを外れて郊外の住宅街に突入。

その住宅街を走り抜けたところにあったのは、何と一軒のマック!!

そう、あのマクダーナル(McDonald's)です!!

運転手さんは、キキーーーッ!と乱暴にマック前の道路にバスを停めて乗り捨てると、マックの中に走り去って行き、しばらく戻って来ませんでした。

皆さん、一体何が起きているのか分からずに

ポカーーーン( ゚Д゚)

やがて戻って来た運転手さんの両腕には、いくつものテイクアウトの紙袋が。

そして運転席に座ると、もう一心不乱に、何人分か分からないマックのセットを貪り食っていました。

30分ほど、そこにそうしていたでしょうか。

この日のラマダンを全うし、初めての食事を終えた運転手さんは見違えるほど穏やかな運転になり、まるで何事もなかったかのように帰路のルートに復帰し、悠々とホテルまでバスを走らせたのでした。

おそらく、初めて自分たちがした行為の意味を分かったのか、オバちゃん達は少し申し訳なさそうにしていました(;´∀`)

さて、バスが中心部に入る頃にはすっかり日が暮れて暗くなっていたのですが、そこには日没前と一変した光景が広がっていました。

街中に人々が繰り出し、家族で連れだって通りを練り歩いています。

昼間は閉まっていた店という店が、きらびやかな電飾に彩られてオープンしています!

どの店も混雑して、通りでは日没を祝うために?踊りまくっている人も沢山見かけました。

沖縄のエイサーみたいに、両手を上げて身体を揺らしながら小さく飛び跳ねて踊っていました。

まさに喜びの舞!

市内を流れる川にはいくつもの屋形船?が行き交い、こちらも電飾でキラキラと輝いています。

まさにお祭り!

そう、ラマダンとは、断食という厳しい修業を通して同じイスラム同胞としての絆と連帯感を強める、いわば盛大なお祭りだったのです!!

イスラム教徒ではない、一旅行者の私でも、日没後のまるでカーニバルのような陽気で楽しげな雰囲気にすっかり気分が高揚してしまいました。

今現在のロックダウンにも似た閑散とした日中の街と、人々がこぞって繰り出す日没後の華やかな街は、全くの別世界でした。

でも今回だと、コロナの影響で日没後の雰囲気も例年とは全然違っていることと思います・・。

私はホテルに着くとすぐに部屋を飛び出して、日没後のエジプトの街を歩き回りました。

深夜12時くらいまで外を歩いていましたが、女性一人でも全く危険は感じず、むしろ色々な人から笑顔で話しかけられて、エジプト語が全然分からなくてもとても楽しかったです。

とにかくみんながみんな、笑顔一色なのです。

日没が嬉しくて嬉しくてたまらない、ラマダンって楽しい!!

そんな雰囲気でした。

驚いたのは、深夜12時でも、小さな子供を連れた家族連れがそこら中にいたこと。

あんな時間まで子供を連れ回すなんて日本では考えられませんが、でもラマダン期間は、きっと子供たちにとっても非日常の特別なイベントなのだろうなと感じました。

ちなみに、日没後はこのようにハイになった人々で溢れ返りますが、バスの運転手さんもそうだったように、

日没直前

が、断食ストレスのイライラが最高潮に達する、

超絶危険な時間帯

となります。

何でもラマダン中は断食の影響で仕事に集中できないため、皆さん早めに仕事を切り上げて帰るらしく、街は3時頃から家路を急ぐ車で凄まじい帰宅ラッシュになります。

みんな少しでも前に進みたくてスペースがあれば我先にと車を入れるので、片側3車線が6車線くらいまで膨れ上がり、そこらじゅうでクラクションが鳴りまくって車列が殺気立っています。

道路を横断して向こう側に渡るのも、誰も道を譲ってくれないばかりか、クラクションを鳴らして蹴散らしにかかってくるので、とにかく命懸けでした。

エジプト滞在の最終日の夜を満喫して、私は深夜12時を過ぎてホテルに戻って来ましたが、ホテルの前を流れる川にかかっている橋の入り口のところで、物乞いの女性を目にしました。

普通の物乞いであれば私は絶対に相手はしないのですが、彼女は小さな1歳くらいの子供を連れていました。

地べたに座り込んで通りを行き交う人々に物乞いをするお母さんの横で、とても可愛い小さな男の子が、そのまま地べたに寝転んでぐっすり眠っていました。

よくこんな環境で寝られるなと思ったのですが、きっとそれが彼らの日常なのでしょう。

すやすやと無邪気に眠るその小さな子供の愛らしい寝顔を見ていると、私はどうしても無視することができずに、その時に残っていたエジプトのお金を全て彼女に渡しました。

翌日ガイドさんが言うには、同情を引くために子供を敢えて一緒に連れて来るのだそうです。

まさに!とは思いましたが、そんなことどうでもいいから、少しでもあの子供のために自分のお金が役立ちますようにと願わずにはいられませんでした。

エジプトはまた行きたい国

いかがでしたか?

古代エジプトファンにとって、エジプトは、何度行っても飽きない魅力に溢れています。

いつか子供達を連れてまたエジプトを旅行したいなぁ!

私の夢の一つですが、今度行くときは、ラマダンだけは避けておこうと思います(;´∀`)

でももしあなたがこの記事を読んで、ラマダン中のエジプトを体験してみたい!と思ったら・・

しっかり自分の食料は準備して行きましょう!!!(でも食べる時はコッソリでお願いします。。)

それがラマダンを十二分に楽しむ秘訣です(笑)

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