イギリス生活・イスラエル生活を経て、カナダ移住へ

山あり谷あり海外移住記

■イギリス生活 ★トピックス

英語が苦手ですが何か

投稿日:2018年11月11日 更新日:

英語で心が折れた経験、ありますか?

私は英語が得意ではありません。

この年齢になって他人のせいにするのは好みませんが、英語に対する苦手意識は、確実に中学時代の英語教師が戦犯であると言えましょう。

私の場合、中学校から英語の授業が始まりましたが、初めての英語に期待と不安を抱く中一少女の繊細な心は、強烈な個性を持つ女教師によって木っ端みじんに打ち砕かれました。

今思い返しても、独特な感性を持つ女人でありました。

学校の遠足に、ミニスカートとハイヒールで現れた女。

これから山登りするんですよ山登り。

気合いの入れ方が間違っているとしか思えません。

さて肝心の授業はというと、彼女は英語の単語を色で説明していたのですが、これがもう何のことやらサッパリでした。

「beautifulは黄色い言葉!」

「loveは赤と緑よ!」

「赤の次は何?緑の言葉よ!そう決まってるの!」

どうも品詞を色分けしているらしいと気付いたのはずいぶん経ってからです。

もしかして名詞を赤、動詞を緑、形容詞を黄色って言ってる!?と、ものすごい大発見に感動しました。

そして最も許し難いのが、三人称単数のことを、「話の中に出てくる一人ぼっちで寂しい人」と説明しやがったこと。

話の中に出てくる一人ぼっちで寂しい人=he,she,it,単数形だよネ!

って分かる人、いるんですかね。

「I feel lonely.のIは寂しがってるから、この場合I feels lonely.になるのカナ?」

嗚呼、可哀想な中一女子。

自分のことながら、書いていて涙が出てきます。

そしてある日、私は指名され、彼女が黒板に書き殴った絵を英語で言うよう指示されました。

黒板には、小さい箱と大きい箱が描いてありました。

まず女教師は小さい箱を指示棒で示しました。

既に英語の授業が恐怖でしかなかった私は、恐る恐る「small box」と答えます。

次に彼女は大きい箱を指示棒で示しました。

「big box」と答えます。

それを聞いた瞬間、女教師は「してやったり!」という満足気な表情になりました。

何ということでしょう。

せ、せ、正解ではないのです。

どう見たって、小さい箱と大きい箱。

私は泣き出しそうになりました。

生まれたての小鹿のような非力な私に向かって女教師がドヤ顔で言い放った正解とは・・

「小さい箱は、遠くにあるからthat box。大きい箱は近くにあるからthis boxよ!」

それを聞いた瞬間、私の脳内のものすごく冷めた部分が悟りを開きました。

「駄目だこいつ。」

そして脳内でもう一人の自分がこう囁きました。

「もう、いいんじゃないカナ。」

これまで英語が苦手だったのは、どうしても好きになれなかったのは、得意じゃなかったのは、私の熱意が足りないから、勉強不足だから、努力してないから。

とにかく自分のせいだと思っていました。

でも、そうじゃない。

こんなキテレツ英語教師に教えられてたからなんだ!

ものすごく清々しく、そう思いました。

この思いは今でも変わりません。

しかし、元凶は突き止められたものの、失われた英語への興味や情熱は二度と戻っては来ませんでした。

いかに教師というものが、一生徒の人生に重大な影響を及ぼし得るか、自分の経験からまざまざと学びました。

この苦手意識というのは恐ろしいもので、それからずっと、大人になった今でも、海外生活を繰り返しても、なかなか消えませんでした。

本当に、英語に対して身構えてしまうし、パニックになってしまうのです。

イギリスで生活していた時も、育児で一杯一杯だった私は、英語を話したくなくて、スーパーでは常にセルフレジを使って会計をしていました。

普通の有人レジに並ぶと必ず色々と声を掛けられるからです。

そんなある日、10台ほどあるセルフレジのほとんどが故障して、行列ができていたことがありました。

私は嫌な予感がしました。

店員が列の先頭で、何やら客を仕分けています。

どうも、稼働している数台のうち、現金で支払えるのが1台のみで、残りはクレジットカードでしか支払えないため、会計方法を確認して案内している様でした。

店員は、誰に対しても、同じ質問をしていました。

「Cash, or card ?」

これだけです。

本当にたったこれだけ。

私は大いに安心して、私はCash・・私はCash・・と心の中で呪文のように唱えました。

そして遂に私の番。

「Cash, or card ?」

「Cash !」

私は大きな声で答えました。

店員のおばさんは慈愛に満ちた眼差しを向けて大きく頷き、私を機械へ案内しました。

私が案内された機械には、「Credit only」の張り紙がしてありました。

愕然としました。

私はCash・・!

Cash、その一言すら通じなかったYO!

通じさせることができなかったYO!

私の英語力って一体・・!

その話を友達にすると、みんな「それは聞き違えただけだよ~!」と言うのですが。

安易な慰めは更に傷を深くするだけです。

「Cashって言ってみな?発音チェックしてあげるから。」

友達なら、「かかって来いよ!」的な包容力のある一言が欲しい。

私は英語が本当に苦手です。

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