イギリス生活・イスラエル生活を経て、カナダ移住へ

山あり谷あり海外移住記

■イギリス生活

海外移住の始まり ~鬱寸前にまでなったイギリスの天候について~

投稿日:2018年9月11日 更新日:

私たち夫婦が初めて海外移住をしたのは、イギリスです。

夫の海外就職活動を経て、イギリスとカナダの会社から内定をもらい、夫はイギリスの会社を選びました。

イギリスの就労ビザに必要な英語のスコアがなかなか取れずにいた中、私の妊娠が判明し、子供が産まれるまでは会社が夫の渡航を待ってくれました。

娘が生まれてしばらくして夫は渡英、私も娘が1歳になるのを待って渡英しました。

そこからが大変でした。

出産時に私たち夫婦は自分たちの家を引き払い、夫の実家に身を寄せました。

渡英するまでは義両親と同居して育児をしていましたので、色々なサポートがありました。

しかし自分一人で初めて子育てをする環境が、頼る人もない海外になりました。

ちょうど1歳になったばかりですが、娘は10カ月で歩き始めた子だったため、1歳になる頃には走り回っていました。

もともとショートスリーパーで昼寝もほとんどしない子でしたので、一日中動き回り、まだ言葉も理解できないため何を言っても通じず、初日で既に疲労困憊でした。

渡航した時期も悪かったのです。11月上旬でした。

日本だと秋の気持ちの良い季節ですが、イギリスでは既に長い冬が始まっていました。

もともとイギリスは天気が悪いとは聞いていましたが、予想以上でした。

毎日毎日雨が降り、公園で子供を遊ばせることもできません。

雨が上がってから公園に行ったとしても、遊具はびしょ濡れですので、冬の間は公園には人っ子一人いませんでした。

そして天候の変わりやすいことといったら、山の天気のようでした。

雨雲が空一面に立ち込め、土砂降りになったかと思うと、1時間後にはサッと雨が上がり、雲一つない青空になるのです。

その逆もまた然り。でもどちらの天候でも、風は比較的常に強かったです。まさに高山地帯の気候に似ていると思います。

ですので、とにかく毎日家で子供を見る日々。外に出かけるのは日中の買い物のみでした。

その買い物さえ、さっきまで平気だったのに出ようとした時に雨が降り出すこともザラ。とにかく空と子供の様子を交互に見ながら外出する機会を伺っていました。

更にイギリスは高緯度の国なので特に冬は暗くなるのも早く、長く外出はできません。

それに天気の悪い日が多いので昼間でも電灯をつけないと部屋が暗く、あの暗さには本当に参ってしまいました。

私は段々自分の心が重く沈んで行くのを感じていました。

太陽の光や気候が人間のメンタルに多大な影響を及ぼすことを、イギリスに行って身を以て経験したのです。

後で現地在住の日本人から聞いたのですが、移住でも駐在でも何でも、11月に日本から来た人が一番鬱になるのだそうです。

その理由は、サマータイムがちょうど終わり、どんどん日が短く、どんどん暗く寒くなっていく時期だから。

夏を知っている人は、夏になれば、輝くような太陽が出て、サマータイムもあり、午後10時くらいまで外が明るいことを知っている。

でも夏を経験していない人、夏が終わってから来た人は、イギリスの長く暗く雨の多い冬の気候に参り、この天候が一年中続くのか?と不安に駆られていくのだそう。

まさに私がそうでした。雲で霞んだ弱々しい太陽の光、イギリスって、こうなんだ・・と、本当に来たことを後悔しました。

ちなみにこの暗く長い冬の気候には現地のイギリス人でも鬱になる人が多いらしく、強制的に光を浴びて体内のリズムやメンタルを保てるよう、「鬱ライト」なる商品が売られていました。

どれくらい効果があるのか分かりませんが、私も使ってみれば良かった!

イギリスに渡航する際、実母が付き添って現地に3日間だけですが滞在してくれました。

母が帰国する前日、ホテルに戻る母を家の玄関先で見送った時のことが、忘れられません(暗くなるからと、駅まで見送らせてくれませんでした)。

冷え冷えとした空気、暗闇に包まれつつある夕方。

まだ何も分からない娘を抱えて、日本に帰る自分の母を見送ったあのひと時は、自分の人生の中でも、かつてないくらい、悲しみと孤独と寂しさと不安に包まれた時間でした。

自分たちが希望して海外移住をしたので、帰らないでとも寂しいとも言えず、幼い娘を抱えて、ただひたすらその感情に耐えたのを覚えています。

私たちの海外移住は、そのような状況でスタートしました。

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