先日、夫がカナダに向けて出発しました。
結論から言うと、カナダには入国できました。
無事に入国、と言いたいところですが、無事には行きませんでした。
信じられないトラブルが発生したのです。
トラブルその1:アメリカのESTA未取得により、成田空港で飛行機へのチェックイン拒否
トラブルその2:カナダのETA未取得により、アメリカのサンノゼ空港でカナダへの乗継便のチェックイン拒否
ESTAもETAも呼称は違いますが仕組みは同じで、いわゆる渡航前の電子渡航認証システムのことです。
ビザなしでアメリカに入国するにはESTAの、ビザなしでカナダに入国するにはETAの事前申請・取得が必須になります。
どちらも、ちょっとインターネットで調べればすぐに出てくる情報です。
完全に、夫の準備不足・情報収集不足が原因です。
何度も夫には航空券について「大丈夫?」と念押ししていたにも関わらずこの有様、心底呆れ返りましたが、既に起きてしまったことは仕方ありません。
今回のことは教訓として今後に生かすとして、とにかくカナダには何とか入国できたので、今後どなたかの参考になることもあるかも知れないと思い、事の顛末を振り返ることにします。
実際、成田空港でチェックイン拒否となり、その場で必死に情報を調べまくったとき、似たような体験談が一番参考になり、救いにもなりましたので(;Д;)
■アメリカのESTA未取得により、成田空港で飛行機へのチェックイン拒否
まず、今回のカナダ渡航の飛行機の旅程は次の通りでした。
成田空港→サンノゼ空港(アメリカ)→バンクーバー空港(カナダ)→エドモントン空港(カナダ)
この内アメリカへの入国は乗継のためだけです。
たとえ乗継便の利用であっても、ESTA取得が必要だったということが、盲点と言えば盲点でした。
しかし、これは少し調べればすぐに分かることですし、夫に送られてきていた航空券のメールには、注意事項として記載されていたはずです。
出発当日の朝、自宅で事前チェックインしようとした夫が、「あれ?おかしいなぁ。何度やっても事前チェックインができない。まぁ空港でやればいっか。」
と言っていたのですが、夫の性格を熟知している私がこの時点で危機を察知することができていれば、少しは展開も違ったかも知れません。
この先に待つ運命も知らず、我々は夫の両親とともに意気揚々と車で成田空港に向けて出発しました。
途中コンビニに立ち寄りましたが、「空港でゆっくりしましょ♪」とおやつも飲み物も買わずにトイレ休憩のみ。
成田発17時の便だったのですが、かなり早めに出発、お昼の12時半には無事に空港に到着しました。
3連休の初日ではありましたが、空港は人も少なく、早速、夫は自動チェックイン機で手続きを開始しました。
この時、自動チェックイン機には彼一人しかいなかったため、自動チェックイン機の脇に立っていた案内係の空港スタッフが、親切に夫の代わりに機械を操作してくれました。
途中までは順調だったのですが、やがてスタッフが表情を曇らせ、何度か機械を操作し直します。
嫌な予感・・。
こういう時は、間違いなく何かが起きているのです。
しばらくスタッフは機械を操作していましたが、やがておもむろに口を開きました。
「アメリカのESTA取得はお済みですか?」と。
夫は「?」の表情。
私はESTAのことはもちろん知っていましたが、乗継便では必要ないと思っていました。
しかしこの時、乗継便の利用でもESTAが必要であることを理解しました。
スタッフは冷静に夫にESTAについて説明し、オンライン申請ができるので、どこか椅子に座って落ち着いて手続きをし、ESTAの取得ができてから空港カウンターに来るよう告げました。
「最終チェックインは15:30です。それまでに取得できなければ、搭乗はできません。」
そう言ってスタッフは持ち場に去っていきました。
この時、残り時間が3時間を切っていました。
ソファのある一角に移動し、夫はオンライン申請を開始しましたが、入力項目が多く、タイムアウトしたりパスポートの画像読み込みでエラーが出てやり直したりして、少しキレ気味でした。
そんな夫にイラつく私。
私はその間ESTAについてネット検索していましたが、どのサイトでも、1週間前にはやっておくべき事前準備として挙げており、ESTA公式サイトによると出発の72時間前(3日前)までには申請が必要と注意喚起していました。
いくらオンライン申請ができるとはいえ、今、出発直前に空港でやっている夫・・。
そもそも、申請して即時承認される性質のものだったっけ・・。
冷静になろうとしても、私は嫌な予感しかしませんでした。
ようやく支払い画面が登場し、クレジットカードで決済完了。
やれやれ、やっと承認か!・・と思いきや、画面には「保留」の文字。
「これから審査し、72時間以内に結果が反映されます」と・・。
これには夫だけでなく私もパニックに陥りました。
まさかの保留!そして72時間!?
この時点で、搭乗締切まであと2時間でした。
この少し前から、空腹で娘がぐずり出していました。
オンライン申請が完了するまではなだめすかしていましたが、もう限界でした。
空腹のためでしょう、「お腹が痛い」と泣き出しました。
私たちは慌ててレストランエリアに移動し、蕎麦屋さんに飛び込みましたが、ちょうどお昼時で混んでいました。
とりあえず先に娘の分だけ注文しましたが、娘は空きっ腹の腹痛で泣き、夫はカナダの会社の社長に連絡を取るために席を外し、夫の両親は想定外の事態にずっと無言、お通夜のような雰囲気で、色んなメニューがある中で大人は全員「ざるそば」を注文。
食事を楽しむどころではありませんでした。
先に到着したお蕎麦を娘に食べさせるも、あまりに空腹だったため食べても腹痛が収まりません。
泣く娘をソファーに寝かせながら、心を鬼にして私は引き続きネットで情報検索。
そこで分かったことは、以前はESTAはほとんどが即時承認されていたようですが、トランプ政権になってから入国審査が厳格になり、いったん全ての申請が「保留」されるようになったこと。
保留から承認までは時間がかかるケースが多く(といっても72時間以内に回答は来ます)、いつ承認されるかは、とにかくケースバイケース。
時の状況(この場合は承認するアメリカ側の状況)と運による。
アメリカの政府機関が2018年末から閉鎖されていることがニュースになっていましたが、そうしたこともあって、私にはとても搭乗までに承認される状況とは思えませんでした。
悲しいことに、空港で私たちと同じようにチェックイン拒否でESTA未取得に気付き、空港でオンライン申請、搭乗に間に合わなかった方の体験談をネットで見つけました。
その方は、翌日の同じ便に振替えられ、いったん帰宅し翌日の出発になったそうです。
いよいよ私はそのケースを覚悟しました。
そして夫に対する怒りがムクムクと湧き上がってきました。
あれほど航空券のこと確認したのに、あれほど・・!
しかし、ある一件の体験談が目に留まりました。
その方は、保留状態から1時間ほどで承認されたとのこと(空港でオンライン申請したのではなく、事前に十分な時間を取って申請していたのが私たちと雲泥の差ですが)。
でも、そういうケースもある!
この情報には本当に勇気づけられました。
もう、それしかない。
それしか道はない。
神様、どうかお願いします・・!
私は必死に祈りました。
そのとき、娘が一言、「ゲボしそう・・」と。
私は悲鳴を上げ、娘の口にビニールをあてがいながらお店を出てトイレに走りました。
あまりに悲惨な状況に、心がついて行けませんでした。
何だこれは・・何が起きてるんだ一体・・。
娘を連れて走りながらそんな想いだけが無限ループしてました。
とにかく娘の介抱。
飛行機は駄目だったら振替え。
もう、夫のことは出発日まで完全シカトだ。
そう考えると少し心が落ち着き、娘をトイレで介抱しお店に戻った時には、テーブルの脇に置いていた夫のスーツケースがなくなっていました。
■奇跡のESTA承認
何とESTAが承認されチェックインができていました!
申請してからちょうど1時間、まさに奇跡でした。
しばらくはその幸運が信じられず、手が震えていました。
喜ぶというより、ただただ脱力でした。
空港カウンターのスタッフさん達も驚いていたそうです。
というのも、去年の年末頃からESTA承認が更に厳しくなり、特に2019年に入ってからは、通常1日かかっていたそうです。
実際、更にネットで調べると、その情報も出てきました。
私たちのような状況の人のために、出発当日に緊急でESTA申請を代行する業者さんがいたのですが(その業者さんに依頼すると申請に問題がなければ通常30分ほどで取得できるそうです・・!)、その業者さんが、「今年に入ってからESTA取得に1日~3日かかるケースが頻発しているので、出発3日前を経過してからの申請は非常に危険です」とホームページで緊急告知していました・・。
この情報を後で知って良かったのか悪かったのか。
先に知っていれば、間違いなくこの業者さんを通して申請していたと思います。
余計なお金はかかりますが、それが確実です。
こうした業者さんがいることを知らなかったので、自分で申請した夫は、完全に運に身を任せたのです。
改めて知った、事態の深刻さと夫の強運でした(腹が立つくらい、夫はものすごく運が良いのです)。
まだまだ夫に対する怒りが残り、笑い話にはできない状態でしたが、何はともあれカナダに向けて夫を送り出し、ドッと疲れた私と娘は帰りの車内で爆睡しました。
お義父さんお義母さんごめんなさい。。
夫の両親と帰り道で夕食をとって別れ、その日は疲労感で早く就寝しました。
明日になればカナダから連絡が入るだろうと思いながら・・。
しかし、トラブルはまだまだ待ち受けていたのでした(後編につづく)。