2014年11月~2016年12月までイギリスで生活していたため、現地でクリスマスを3度経験しました。
イギリスで過ごしたクリスマスは、私にとっては、苦い思い出のイベントになりました。
街がイルミネーションで彩られ、あちこちでクリスマスセールやクリスマスマーケットが開かれ、クリスマスソングが聞こえ・・・と、ここまでは日本のクリスマス前の雰囲気と何ら変わりはありません。
しかしクリスマス当日は、公共交通機関は全てお休み、スーパー、飲食店、ショップも全てお休み、娯楽施設、例えば博物館やテーマパークなども全てお休みと、完全に街が眠ります。
そもそもクリスマスは宗教的な祝日であり、日本と違って欧米では静かに過ごすということはよく聞いていたのですが、そうはいってもそこまで徹底していないだろうと高を括っていました。
■2014年クリスマス
この年のクリスマスは、HARROW(ハロー)という街に住んでいたため、そこで迎えました。
何も考えず外に出たところ、人っ子一人歩いていませんでした。
家の裏手に大きな公園があったのですが、私たち家族以外に人影はなし。
ハローには大きなショッピングモールが2つあるのですが、そこも閉まっていました。
普段お世話になっている大型スーパーのMORRISONS(モリソン)とTESCO(テスコ)も当然閉まっています。
歩行者天国になっている通りを歩いてみると、一人の男性が寒そうに歩いていました。
アラブ系の男性でした。やはり彼らにはクリスマスは関係ないのですね。
・・・ということは、アラブ系のお店は開いているのでは?
そう予想して行ってみると、ビンゴ!確かにアラブ系のスーパーは営業していました。
この時、あぁ、クリスマスって本当に宗教行事なのだな。と実感しました。
日本にいると到底感じることのできない雰囲気でした。
油断していたため、買いだめなどもしていませんでした。
冷蔵庫にあったもので凌いだと思いますが、何を食べたのか全く記憶にありません。
■2015年クリスマス
この年のクリスマスは、ちょうどイギリス国内を旅行中に迎えました。
場所はビートルズ発祥の街、リバプール(LIVERPOOL)です。
前年のクリスマスで全ての店が閉まるということを経験していたため、「クリスマスは備えが必要」という認識はしっかりとありました。
しかし愚かにも、ここでも高を括っていたのです。
「観光地なんだから、さすがに開いてるだろう」と・・・。
実際、前日のクリスマスイブは、どこのお店も開いていました。
地元の人で賑わっているレストランに入り、美味しいディナーをいただきました。
「うん、これは、明日もイケる・・・!」
私はそう確信しました。
しかしクリスマス当日、街の雰囲気は一変していました。
ビートルズのグッズを大量に売っている土産物ショップが一軒だけ根性を見せて営業していましたが、他は全て全滅でした。
(そういえばそのお店のご主人、アラブ系だったな・・・)
そのショップにいたのは、私たち家族と、一人の観光客らしき人のみ。
その観光客も、戸惑いがちに店内を眺めまわしていました。
入る所がそこしかないから入っただけという雰囲気が丸見えでした。
彼もまた、観光地のクリスマスを甘く見ていたのでしょう。
旅行中ゆえ、食事は全て外食です。
「このままでは今日は本当に食いっぱぐれるかも知れない」という強烈な危機感が湧きあがってきました。
大人だけなら何とか我慢もできますが、2歳の娘を連れていました。子供に何も食べさせないわけにはいかない!
必死になって車で何度も街中を走り、駐車場に車を停めてあちこち彷徨い歩きましたが、とにかくどこも閉まっています。
普段は大勢の人が行き交っているであろう大通りには、素敵なクリスマスが過ごせるだろうと思って世界中から集まってきた哀れな観光客たちが、雨の中不安気な表情でうろついていました。
間違いなく彼らも、食事をする場所を探しているようでした。
その時、コーヒーカップを手に持って歩いている男性を発見!
彼の元に猪突猛進し、「それどこで売ってたの!?」と詰問するかのごとく尋ねました。
「あっちのスターバックス」と彼が指差した方向へ猛ダッシュし、遂に開いているスターバックスを見つけたのでした。
そのスターバックスの店頭には、「Christmas is Here !!」と書かれたボードがありました。
あの時の安堵感、感動は今でも思い出すと胸が熱くなります(笑)。
店内は私たちと同じようなクリスマス難民でごった返していました。
ほとんどショーケースも空になりかけていたのですが、何とか家族3人分のサンドイッチと飲み物をゲットして、ようやく昼食にありつけたのでした。この時、午後3時くらいだったと思います。
あの時に食べたサンドイッチの美味しかったこと!
あれ以来、スターバックスには恩義を感じ、リスペクトしているのです。
悲惨だったのはその日の夜でした。
別の街に移動したのですが小さな街だったため、アラブ系のスーパーすらなく全滅。
開いているお店が見つかるまで郊外に車を走らせ、ガソリンが減り、しかしガソリンスタンドも開いておらず、ようやく見つけた小さなアラブ系のお店はお菓子しか売っておらず、クラッカーを買ってホテルに帰りました。
旅行中の非常事態にと袋入りラーメンとウィンナーを買ってあったので、こちらも念のためにと持参した鍋でラーメンを作り、ウィンナーを茹で、家族3人で分け合って食べました。
やはりクリスマスを甘く見てはいけないと、改めて心に刻み込んだのでした。
■2016年クリスマス
この時は、ウェストアクトン(WEST ACTON)という街に住んでいて、そこで迎えました。
既に大晦日に日本に本帰国することが決まっていたため、クリスマスは引っ越し作業が大詰めを迎えていました。
残った食材もほぼ消費し、キッチン用品も梱包済みだったため、事情を話して友人の家でクリスマスディナーをご馳走になりました。
家に戻ると段ボールの山。
娘へのクリスマスプレゼントのおもちゃも、少し遊ばせただけで引越し荷物に入れ、何とも殺伐としたクリスマスでした。
■2017年クリスマス
そして今年のクリスマスは、イスラエルで迎える予定です。
イスラエルはユダヤ教の国ですので、クリスマスは特にお祝いはしないそうです。
日本のお祭り騒ぎのクリスマスには、ここ数年お目にかかっていません。
そろそろあの雰囲気が懐かしく感じ始めています。