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イスラエルの断食 ~ヨム・キプール~

投稿日:2017年10月1日 更新日:

今回は、私が体験したイスラエルの断食​​「ヨム・キプール」についてレポートします。

イスラエルでは、新年を迎えてから10日目にヨム・キプール(大贖罪日)と呼ばれる祝日があるのですが、この日はユダヤ教では最も厳粛な日とされているそうです。

※ネットでは色々と詳しい情報を知ることができるのですが、あくまで、自分が生活する上で入って来た情報を元にお伝えさせていただきます。

イスラエルの新年は、公共交通機関もショップもレストランもお休みで、まるで私が体験したイギリスのクリスマス当日のような様相だったのですが、更に凄い日があるらしい、というのを現地の日本人から聞いていました。

それがヨム・キプールです。

色々と情報収集したところ、以下の話を聞くことができました。

・この日は「反省」をする日であり、小屋を建て、そこで生活する(この日、エルサレムでは、マンションのベランダに小屋が建てられている光景があちこちで見られるらしい)
・飲食をしてはいけない(水さえ本来は飲んではいけない)
・車を走らせてはいけない(運転すると罰金を取られる)
・公共交通機関は全てお休み。タクシーもお休み。
・電気を使ってはいけない(実際、敬虔なユダヤ教徒はロウソクで生活するとのこと)
・お店もホテルも全てお休み(新年に開いていたロシア系の24時間スーパーでさえ閉まる)
・空港も閉鎖される(外交もその日は休む)
・高速道路で子供達が遊ぶ姿が見られる。
・たまに通っている車は、パトカーや緊急車両のみ。

一年でこの日くらいは、規律を守って静かに家で過ごしましょう、という感じだそうです。

しかし全てが、にわかには信じ難いような話ばかり。

外国人の私たちは、とにかく当日を乗り切るために食材をしっかり買い込んで、興味と不安半分ずつでその日を迎えました。

そして遠くの街から、夫の友人たちが高速道路を自転車でやって来て、我が家に泊まりに来ました。

普段は高速道路を車で20分走らせて遊びに来るのですが、この日は車を使ってはいけないので、日没後を待って、自転車で高速を通ってやって来たというわけです。
当然、次の日は、交通が復活する前にまた高速を自転車で走って帰って行きます。

我が家では飲み会となり、普段仕事で接しているイスラエル人達の話で大いに盛り上がり。
私はこのような厳粛な日に、電気を使いお酒を飲んだりしていいのだろうか!?と一人密かに心配しておりました。

あまりにも気になったので、他の家はどうしているのか?
やはりどの家も真っ暗なのか?と窓から覗いて見たところ・・・


我が家の前の通り。お店は全て閉まっていますが、明かりは見えます。


我が家の隣のマンション。どの部屋にも、明かりが灯っています。これで一安心!(笑)

イスラエル人と国際結婚した日本人女性が語ったところによると、彼女の夫は、この日もクーラーを普通にかけていたらしく、彼曰く、ヨム・キプールが始まる前からクーラーを使っていたのでOKなのだとか。本当でしょうか!?

彼は宗教心があまりないから、言うことが本当かどうか分からない、と彼女。
でも旦那さん、面白い。。(ちなみに彼の名はニーサン。「兄さん」と呼ばれていると思っていましたが、ニーサンというこちらの人に多い名前だそうです)

余談ですがお酒が禁止されているイスラム教でも、お酒を飲むイスラム教徒はいて、禁酒するかどうかはその人と神との間の対話で決まるそうです。
飲酒しているイスラム教徒の人曰く「神が少しくらいなら飲んでもいいと言ってる」から飲んでいるのだとか(笑)。
イスラム教は厳格な宗教というイメージがありますが、柔軟な面もあるのだなと意外でした。

私は食事を作ったり後片付けをしたりしてヨム・キプールを通して家から外に出ることがなかったのですが、夫によるとやはり車は一台も通っていなかった(たま~に通ったがパトカーだった)そうです。
もちろん、お店は全てクローズ。

そしてあっという間にヨム・キプールが過ぎ、普通の日々が始まりました。
今日は日曜日ですが、イスラエルでは日曜日は平日で一週間のスタートの日。

外に出るともう街には日常の活気が戻っていて、でも何となくお休み明けの、のんびりした、気だるそうな雰囲気が漂っていました。

ちなみに、反省する小屋?のようなものをあちこちで見かけたのでご紹介します。


家の庭先に、白い幕で覆われた小屋?のようなものが。普段はこのようなものはありません。
布には、古代の建物の外観のようなものがプリントされていました。


この家にも大きな小屋が。一族で集まって過ごしたのでしょうか。


こちらもマンションの敷地に建ててあります。


【オマケ】娘が幼稚園で作ってきた、ヨム・キプールの小屋。とても可愛い製作物で感激しました。

さてヨム・キプールを終え、ようやく新年の行事が一区切りを迎えました。
新年からヨム・キプールまで、外国人にとっては戸惑うことも多かった日々ですが、終わってみると、他ではできない特別な体験をしたんだなぁという実感が。

日本でいうと、お正月の元旦が雰囲気としては一番近いでしょうか?
でも、お店はもとより公共交通機関まで休む日というのは日本ではありませんから、あの静まり返った独特の街の空気はイスラエルならではのものでした。

以上、イスラエルから、ヨム・キプールをお伝えいたしました。

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